冬の敵は筋緊張 -『アキレス腱延長術』を受けて強まった筋緊張-


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私は9歳の時に、アキレス腱を延ばす手術とリハビリ入院をしました。

その時の縫い傷はかなり薄く綺麗になり外見からでは分からないまでになりましたが、右足のアキレス腱部分には6cm10針の跡が残ってます。

『アキレス腱延長術』を受けたのは、脳性麻痺による尖足を治すため。

この手術をして良かったことは、きちんと地面にかかとが着くようになったことです。
“床にかかとを着けて歩く”というのは当たり前のようですが、ふくらはぎの筋肉が硬くアキレス腱が短くなっている脳性麻痺者は、できない場合が殆どです。
普段きちんと地面にかかとを着けて歩くことができる健常者が、ずっとかかとを浮かせたまま爪先だけで歩いてみると、ふくらはぎが疲れると思います。
かかとを浮かせた尖足のまま歩く脳性麻痺者では、脚にずっとその疲労を感じていることになります。
尖足のままでは足の変形に繋がったり、骨の伸張に対して筋肉の伸張が追いつかず身長が伸びきらないなど、成長に悪影響を与えることがあります。
だから、尖足が目立ってきた時点で手術をして、短かったアキレス腱を延ばしてからは正常歩行に近い形で歩けるようになったことは、良かったです。

延長をしてもまた尖足に戻ってしまい何度か手術を繰り返す方もいるようですが私は尖足に戻ることはなく、手術の意味があったようです。

ただ、この手術を受けて私がデメリットだと思っている点があります。
それは筋緊張が高くなったことです。

寒くなってくると、そのデメリットに毎年悩まされています。写真を掲載しましたが、右足の外くるぶしの上数センチの部分、モーラステープを貼っている箇所です。
脚の筋肉が硬くなってきたり寒さで身体が縮んでくると、この箇所が筋緊張でピリピリ・ビリビリしてきます。それは本当に痛く、ジワジワ続くのです。

脳性麻痺者の筋緊張は中枢神経の興奮によるものなので、私が自分でコントロールすることはできません。つまり、一度出てしまった筋緊張による痛みを、自分で止めることはできません。
服薬や注射で抑えている方もいるようですが、私は試したことがありません。筋緊張の度合いが非常に小さいから試す必要もないようですが、自然に涙が溢れてきたこともある痛みです。
中枢神経の興奮が根本原因となってしまえば、湿布を貼っても治まらないです。ただ、筋緊張が高まる前に積極的なリハビリを行うことで、筋緊張を最小限に抑えられると実感しています。

「なぜ足の筋緊張が高まったのか?」という一因に、手術の影響があったようです。

10年~15年前の医療では、通常『アキレス腱延長術』というと、ヒラメ筋だけを延ばすことが主流だったようです。でも、ヒラメ筋は身体を支える役割を持つ筋肉なので、『アキレス腱延長術』をしてヒラメ筋だけ伸ばしてしまうと、脚力だけが弱まってしまうようです。
そして筋緊張に関係している腓腹筋の力だけが残存することで、結果的に筋緊張を高めることに繋がっているようです。
私が手術を受けた時は、まだ『アキレス腱延長術=ヒラメ筋単独延長』が積極的に行われていた時代だったのですね。
今はヒラメ筋を単独延長することは推奨されていなく、その術法を選択する医師も少ないと聞きました。きちんと腓腹筋まで延ばして緊張が高まりすぎないようにするのが主流のようです。

“アキレス腱を延ばす”というのは、患者本人が持っている本来の長さを医師が手延べするものです。そのため、ゴムのように延ばした分だけ薄くなるようで、自分でも右の脚力は少し弱まったことを実感しています。

尖足改善と共に得た筋緊張は、私がアキレス腱延長術を受けた分の一生の敵ですね。強まったと実感してからは今年で7年目になりますが、これから寒くなるので筋緊張のコントロールに注力していこうと思います。

※筋緊張を強めるのは『アキレス腱延長術』が全てではなく、個人により要因は異なります。
※この記事は『アキレス腱延長術』及び、以前の医療を否定しているものではありません。


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by ayanonano | 2014-11-05 17:55 | 脳性麻痺のこと | Comments(6)
Commented by 森紀美代 at 2014-11-06 09:39 x
あやのさん。

いつもありがとうございます。いつも読ませていただいていますよ。


私も両足のアキレス腱延長術を7歳のときに行いました。


私もあやのさんと同じような思いがあります。

寒くなると痛みますし、筋緊張も強くなりましね。すごくわかります。

あとになってからわかることもあるよね。
Commented by ayanonano at 2014-11-06 17:12
>紀美代さん
こちらこそ、いつもありがとうございます。

紀美代さんも同じ手術されたのですね。
もちろん、アキレス腱を延長したことだけが筋緊張の要因ではないことは大前提ですが、実感としては、手術故だと考えざるを得ないかなと思っています。
当時は筋力低下よりも尖足治療を優先したと思うので、「やってよかったんだ」と切り替えています。
ただ、今まだ手術をしていない反対側(左)にやるか?と言われたら考えて、断ると思います。
おそらく筋力が少し弱まることで、支持性が失われますから・・・。
Commented by 森紀美代 at 2014-11-06 19:49 x
あやのさんの言われている通り、支持性は失われると思います。そして、少し歩き過ぎたり、すると足関節を痛めたり、いいことばかりではないのでよく考える必要がありますね。
Commented by ayanonano at 2014-11-06 23:20
>紀美代さん
そうですね。
手術の必要性の有無を決めるのは医師ですが、
患者本人も手術のメリット・デメリットを理解して臨むことは大切だと思います。
特に脳性麻痺は、手術をしても障害が続きますから、先のQOLやADLも考えて決める必要がありますね!
Commented by なお at 2017-04-22 00:00 x
始めまして!記事を読みました!僕は6歳のときに
アキレス腱延長手術を行いました!手術後は地面に足がつくようになりましたが成長するにつれて
健常な左足との明らかな筋力の差がでてきました!
今でも右だけすごく細いです!
自分だけだと思っていましたが、記事を読んでとても心強くなりました!!ありがとうございます
Commented by ayanonano at 2017-05-21 08:59
> なおさん

コメント返信、大変遅くなって申し訳ありません>_<
コメントいただきまして、ありがとうございました!

この記事で前向きになっていただけたようで、
こちらこそ書いた甲斐があり励まされました。

ありがとうございました。
お身体ご自愛下さいませ。